奨学金があっても住宅ローンは組める!審査への影響について解説
子供が少し成長して、仕事も安定し、マイホームの検討をはじめる30代は、まだ奨学金を支払っている人も少なくありません。夫婦ともに奨学金の返済中というご家庭もあるでしょう。
そのとき気になるのは、住宅ローンの審査に奨学金の借り入れが悪影響かという点ですよね。
奨学金の借り入れがあるだけではそれほど心配する必要はありませんが、状況によっては気を付けたいこともあります。
この記事では、奨学金が住宅ローン審査に与える影響について詳しくお伝えします。
奨学金の有無は住宅ローンの審査にほとんど影響しない
奨学金の返済中でも、住宅ローンの審査にそれだけが原因で落ちることはありません。
他の借金は、借り入れしているだけでも、借金がクセになっているかもしれないと警戒されることがありますが、奨学金はそういう意味でのマイナス評価にはならないので、安心してください。
しかし、奨学金も借金です。返済状況によっては影響あります。
返済中に延滞があれば、住宅ローンの審査に関係してくることがあるので気を付けてください。
奨学金は、延滞がなければ、借り入れ情報が信用情報に記載されないので、そもそも借りているだけでは住宅ローンの審査で不利に働くことはないのです。
奨学金の延滞歴があるなら信用情報を確認しよう
奨学金は、延滞が3ヶ月つづくと信用情報に記載されます。1回だけ1ヶ月程度延滞しただけなら、信用情報に記録されていない可能性が高いです。
心配な延滞歴がある場合は、先に信用情報を確認すると良いでしょう。
信用情報を取り扱っているのは3つの機関です。住宅ローンの審査ではどの機関に照会されてもいいように、すべての情報を確認しておくことをおすすめします。
「CIC」「JCC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」です。
住宅ローンを申し込む前に確認してください。一度審査に落ちると、その後は審査に通りづらくなります。住宅ローンの審査に落ちると、半年くらいは他のローンも落ちやすくなるので、先に確認しておくのが大切です。
奨学金は返済比率に影響がある
実は奨学金が最も住宅ローンに影響するのは、返済比率です。
返済比率は、住宅ローンを申し込むときに特に重要な数字になります。収入に対して返済額の割合がどれくらいかを数値化したもの。返済比率が高いと返済が滞るリスクがあることを意味します。
住宅ローンを申し込む際は、返済比率30%以下が条件になることが多いです。審査に通るためには、25%以下が安全と言われています。
この返済比率は、住宅ローンだけではなく、他の借り入れすべての合計返済額です。収入に見合った借金なのかをチェックするための数字なので、借金すべてが考慮されます。
当然、金利も考慮されます。返済比率を審査するときは、余裕をもって返済できるかどうかを確かめるために、実際の金利ではなく、実際より高い利率である審査用の金利で計算されるのが一般的です。
奨学金や他の借金もあわせて返済比率はチェックされるので、奨学金があればその分返済比率は上がります。
つまり、奨学金の残額が多いと、住宅ローンで組める額が減るという影響が生じるのです。
妻の奨学金は住宅ローンに影響しない
住宅ローンの契約者が夫単独の場合は、妻に奨学金の支払いが残っていても住宅ローン審査には全く影響しません。
このケースで、仮に支払いに延滞があったとしても同じです。妻が保証人になるなど、契約に登場しない限り、影響しないので安心してください。
妻が住宅ローンの契約者で、夫に奨学金があるケースでも、もちろん、夫の奨学金は関係しません。
夫婦共同でローンを組む場合は、影響があるので注意が必要です。
奨学金と住宅ローンをまとめられる可能性もある
奨学金の支払いが残っているまま住宅ローンを組むと、支払いが二重になります。
返済の管理も大変なので、まとめられないかと考える人もいるかもしれません。
奨学金と住宅ローンをまとめるというのは、厳密にはできません。それぞれ、用途が限定されたローンだからです。
しかし、現実的には、住宅ローンの額に奨学金の残高分を組み込みオーバーローンにするケースもあります。
こうすると、住宅ローンで奨学金を返済して、あとは住宅ローンのみを払っていくことになります。
住宅ローンに家具購入や引っ越し費用を組み込むのと同様の手法ですが、できるかどうかは確実ではありません。住宅ローンの額が大きくなりすぎても、住宅ローンの審査に通らなくなります。
また、奨学金が無金利・低金利で借り入れしている場合、住宅ローンにまとめることで余計な利息の支払いが発生することになりかねませんので、慎重な検討が必要です。
奨学金を住宅ローンに組み込みたいときは、住宅メーカーや建設会社に相談してみると良いでしょう。
住宅の頭金より奨学金の返済が優先
貯金がある場合に頭を悩ませるのは、住宅建築の頭金にするか奨学金の返済に当てるかではないでしょうか。
一般的には、奨学金の返済にあて、借金のない状態で住宅ローンの審査に申し込む方が良いと言われています。
特に、奨学金に利息が発生しているケースや残額が多いケースでは、奨学金の返済を優先することをオススメします。
ただし、奨学金の返済に貯金をすべて使ってしまい頭金がゼロになると、住宅ローンの金額が大きくなり、それはそれで審査が厳しくなります。借金と頭金のバランスは大切です。
また、すでに長く返済してきて返済残高が少なく無利息の奨学金なら、繰り上げ返済するメリットはあまりないと言えるでしょう。
一般的には、金融機関の多くは奨学金の繰り上げ返済を優先したほうが良いと判断されますが、ケースバイケースで金融機関によっても判断が異なるので、住宅ローンを組む金融機関に相談してみてください。
奨学金の借り入れを隠して住宅ローンに申し込みするのは高リスク
奨学金は、借金の意識がないこともあり、住宅ローンの申し込みの際に申告を忘れる人もいるかもしれません。
また、延滞していない限り信用情報に記載されていない可能性が高いこともあり、言わなくてもバレないだろうと考えがちです。
しかし、奨学金の借り入れを隠すのは、リスクだけ高くてメリットがほとんどありません。
もし申告していないことがバレると、「嘘の申告をした」ということ自体が原因で審査に落ちます。
住宅ローン契約後にバレた場合は、契約を解除されて、一括返済を求められる可能性があります。
奨学金は、普通に返済できる程度の額であれば住宅ローンへの影響は薄いものです。
そもそも、奨学金が原因で審査に通らないほど返済比率が高くなるのであれば、住宅ローンの契約をするとかなり家計を圧迫するということです。つまり、今は家を建てる時期ではないと言えるでしょう。
奨学金の存在を隠すのは、とてもリスクが高くメリットがないので、きちんと申告してください。
奨学金は住宅ローン審査に影響は少ない!無理のないローンを組もう
奨学金は、3ヶ月以上の延滞履歴がなければ、住宅ローン審査に悪影響を与えません。
残額が多いときは、住宅ローンで組める額に影響がありますが、無理のない住宅ローンを組めば問題ないでしょう。
奨学金の返済を考慮せずに住宅ローンを組んで家計が苦しくなっては意味がありません。余裕をもって返済していけるよう、奨学金の残高も確認して計画を立て、夢のマイホームを手に入れてくださいね。