住民税の滞納による差し押さえは回避したい!流れと解決策を解説
退職後、住民税の督促状が届いて、何のことか分からず焦った経験があるかもしれませんね。
貯金に余裕がないと、不安に感じるでしょう。
住民税を滞納してしまうと、差し押さえという大きなリスクがあるので、滞納は解消しなければいけません。
ここでは、住民税を滞納した場合に考えられるリスクやリスクを回避できるタイミング、差し押さえまでの流れ、解決方法についてお伝えします。
住民税の滞納リスクは差し押さえ
住民税の滞納リスクは、差し押さえの一言に尽きます。
税金の滞納は、手順を踏むものの、あっさり差し押さえに進むので、注意してください。
差し押さえられるものには、給与・売掛金・銀行口座があります。
ここでは、それぞれの差し押さえ内容をお伝えします。
給与が差し押さえになる
住民税を払わないままにしていると、会社に連絡が入ります。
それは、給与を差し押さえるためです。
給与を管理する部署に連絡が入ります。
差し押さえを受けることよりも、会社に税金の滞納が知られることが一大事でしょう。
売掛金が差し押さえになる
自営業をしている人の場合は、給与がないので、売掛金が差し押さえ対象になります。
売掛金が差し押さえられるということは、取引先に税金の滞納が知られるということです。
税金を滞納している人との取引は警戒されるでしょう。
会社に勤めている人が会社にバレるより、自営業者が取引先にバレる方が深刻です。
口座が差し押さえになる
口座の差し押さえを受けることもあります。
自営業者の場合は、売掛金の差し押さえより口座を差し押さえられる方が可能性としては高いかもしれません。
差し押さえられると、解除されるまでは、自分でも引き出しできないので大変です。
口座残高から滞納している税額が引かれ、どうしても逃げられないので、税金はきちんと支払うようにしてください。
住民税滞納から差し押さえまでの流れ
住民税滞納の最大リスクである「差し押さえ」ですが、もちろん、いきなり差し押さえられるわけではありません。
ここでは、住民税を滞納してから差し押さえを受けるまでの流れをお伝えします。
督促状が届く
最初は、督促状が届きます。
督促状は、それほど重たい意味はありません。
税金の払い込みを単純に忘れているだけの人も多いので、思い出させる意味も込めて送られてきます。
この督促状で支払えば、何も問題ありません。
督促状が届くタイミングや回数は、市町村によりますが、支払い期限を過ぎてしばらくしたら、必ず一度は届きます。
いきなり強い内容の書類が届くわけではないので、督促状が届いたら、落ち着いて支払いましょう。
納税催告書が届く
督促状の支払い期限までに税金を払わなかった場合、今度は、納税催告書が届きます。
この催告書は、督促状より強い内容です。
「滞納が続くなら差し押さえをします」という趣旨が記載されています。
- 支払いの期限
- 指定期限までに支払いがない場合は、差し押さえを前提に財産の調査を開始する
- 財産が発見されたら滞納処分を執行する
- 延滞金が納付日までの期間分加算される
納税催告書に記載されている支払い期限までに納税しない場合、会社に調査が入ります。
会社に滞納の事実を知られると信用を失いますから、最低でもこの期限までにはなんとか対処してください。
最後は差し押さえ予告書が届く
納税催告書も無視していると、最終通告の「差し押さえ予告書」が届きます。
納税されないので差し押さえますという趣旨の書類です。
この時点では、まだ支払い可能。
支払い期日が記載されているので、その期日までに支払いましょう。
差し押さえは免れます。
支払期限までに支払いをしないと、差し押さえが実行されます。
この通知書が届いた時点では、給与に関する調査が終わっている点には注意してください。
差し押さえ予告書が届いたら、会社には税金を滞納して差し押さえの段階まで進んでしまっていると知られています。
差し押さえ予告書が届くより前の段階で、滞納を解決しておかないとまずいです。
差し押さえは給与の全額ではない
差し押さえを受けると全財産を没収されるようなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
給与は、生命の維持に必要なお金なので、食事ができないほどの金額は差し押さえられないのです。
差し押さえは、上限額が決まっています。
地方税、所得税、社会保険料などを除いた手取りの1/4までです。
ただし、手取り額が44万円を超えると、33万円を超えた部分は全て差し押さえの対象になります。
つまり、33万円が手取り上限です。それ以下の場合は、3/4は受け取れるので、その金額で1ヶ月生活しなければいけません。
差し押さえられる額には、延滞金が含まれています。
最終的には余計なお金が加算されて強制没収されるので、最初の段階で対処しておくのが正解です。
自営業の場合は口座を差し押さえられる可能性が高い
自営業の場合は、差し押さえる給与がないので、その代わりに売掛金が差し押さえられます。
ただし、売掛金を差し押さえてしまうと、以後その人は自営業が破綻するかもしれません。
そうなると、税金を今後の税金を徴収するどころか税金でその人の生計を維持してあげなくてはいけなくなる可能性があり、長い目で見ると、売掛金を差し押さえするのは行政としてもリスクが高い行為です。
自営業の場合は、売掛金を差し押さえるよりも、口座を差し押さえられる可能性が高いでしょう。
口座の残高から滞納している税金全額を差し引くので、口座にお金が振り込まれる月末を狙って差し押さえられます。
もちろん、売掛金を差し押さえられることもあります。
行政の判断になるので、どちらがいいと選ぶことはできません。
売掛金を差し押さえられると、取引先に税金の滞納が知られ、信用を失います。
業界によっては、横のつながりで広く知られることになり、その後の営業活動に大きな支障をきたす可能性もあるでしょう。
民間の借金よりも税金の方が取り立ては厳しいです。
住民税は甘く考えがちですが、思っている以上に大変なことになるかもしれません。
万が一忘れていても、督促状が届いた段階で支払いましょう。
住民税を支払えないときは役所に相談!
住民税は、督促状が届いたらすぐ払うのが基本です。
しかし、本当にお金がなくて、どうしても払えないこともあるでしょう。
そんなときは、すぐに役所に相談してください。
きちんと相談すれば、分割納付など解決策を提案してもらえます。
連絡なく滞納すると厳しい差し押さえ処分を受けますが、事情を丁寧に説明して、前向きに支払う方向で話し合いをすれば、なんとかなります。
滞納を続けても税金は絶対に逃げられません。
しかし、払えないと分かった時点ですぐ相談すれば、仕事には影響しません。
お金がないと申告するのはストレスですが、早めに連絡するのが最善の策です。
住民税は前年度の収入に対して額が決定されるので、失業しても支払わなければいけません。
退職する前に税金が払える分だけの貯金はしておきましょう。
失業した事情がある場合は、その事情も含めて役所に相談すれば、事情に合わせた対応をしてもらえます。
住民税の2つの徴収方法
住民税の滞納理由の一つに、住民税を支払っている自覚がないことがあります。
会社員で天引きされていた場合です。
ここでは、住民税の納付方法についてお伝えします。
仕組みを知っておくと、転職したり退職したりと状況が変わっても住民税のことを思い出せるでしょう。
給与から天引きの特別徴収
会社員は、特別徴収という方法で、給与から天引きされます。
会社員ではなく、アルバイトでも、給与所得者は天引きが基本です。
給与天引きの場合は、1年分の税額を12回で割り、1ヶ月分の天引き額を決定します。
6月から翌年の5月までが1年分です。
給料から差し引かれた住民税は、翌月の10日までに会社が納税します。
雇用形態などによっては、天引きではないこともあるので、一度天引きの内訳を確認しておくと良いでしょう。
天引きで住民税を納付していると、支払っている自覚がないかもしれません。
退職した後、住民税の支払いを忘れることがあるので注意してください。
自ら納付する普通徴収
自営業と無職の場合は、天引きできないので、払込票での納付です。
払込票以外にも、引き落としやクレジットカードが使えます。
天引きではなく自分で納付する方法は、普通徴収です。
以前は特別徴収は強制ではなかったのですが、最近になって給与所得者は全員天引きになったという経緯があり、特別徴収の方が一般的になりました。
普通徴収で納付する場合、支払いのタイミングは年に4回。
6月末、8月末、10月末、翌年の1月末です。
一括での納付もできます。
元々普通徴収の人は、期限の失念はあっても完全に住民税の存在を忘れることはないでしょう。
会社員やアルバイト、派遣などの仕事から、自営業や無職になった場合、急に払込票が届いて焦るかもしれませんので、前年の所得に対して支払うべき税金として認識しておいてください。
住民税滞納は信用情報へ影響しない
住民税を滞納すると、クレジットカードなどの審査で照会される信用情報に影響があるか不安に感じる人もいるかもしれません。
税金の滞納は、住民税だけではなく、社会保険なども含めて、信用情報機関に登録されません。
クレジットカードや住宅ローンなど、お金を借りるときの審査には影響しないので、その点は安心してください。
ただし、住民税をクレジットカードで支払っていて、クレジットカードへの返済を滞納した場合は、クレジットカードの延滞情報として信用情報に記載されます。
住民税滞納解消のための借金はNG!相談して解決しよう!
住民税を滞納すると、何度か督促状が届いた上で、最終的に差し押さえが実行されます。
差し押さえの前に、財産の調査が実施されて、この段階で会社や取引先に滞納の事実が知られてしまいます。
結婚して改姓しても、引っ越しをしても、どうしても逃れられないのが税金です。
差し押さえ調査の前までに、必ず支払いを済ませましょう。
お金がなくて払えない場合、キャッシングなどで借金をして解消しようと考える人もいるかもしれませんが、それでは解決になりません。
税金納付のために借金をするのではなく、役所に相談してください。